鉄建建設は2026年10月5日、山岳トンネルの掘削面である「切羽(きりは)」の観察・評価を支援する統合システム「Remote Geo(リモート・ジオ)」を開発したと発表した。システムは昨年度に完成し、今年度から同社のトンネル現場全線で本格運用を開始している。

写真や動画などから取得した情報を解析し、亀裂の状況や岩片が落下する「肌落ち」の危険箇所、地質・湧水などの情報を可視化。現場と遠隔地の技術者が、クラウド上で同じデータを確認しながら評価や協議を行える。

動画による3D解析と、画像によるAI評価を統合

Remote Geoは、鉄建建設がCalTaと開発した3次元トンネル切羽亀裂解析システム「3D Crack Map」と、中電技術コンサルタントと開発したトンネル切羽評価AIシステム「Evaleye」を改良・統合したものだ。

3D Crack Mapでは、切羽付近で撮影した動画から点群データを生成し、亀裂を解析する。亀裂の方向を色分けした図や、肌落ちの危険箇所を示す図などを出力し、切羽の状態を把握する材料にする。

Evaleyeでは、高画質写真やサーモグラフィ画像をもとに、観察項目をAIが評価。トンネルを支える構造の仕様にあたる支保パターンの推奨や、切羽観察記録の作成を支援する。評価結果は技術者が閲覧・修正できる。

現場と本社の技術者が、同じ情報で協議する

取得したデータと解析・評価結果はクラウド上に保存され、現場の技術者と本社などの地質技術者が共有できる。遠隔地からでも切羽画像や3次元データを確認し、技術支援を行う仕組みだ。

会議モードでは、PCやタブレットから複数人が同時に接続し、岩の状態などの評価結果を協議・集計できる。現場で取得した情報を、専門家による確認や判断につなげる。

同社は今後、蓄積したデータを若手技術者の技能習得や施工に活用するほか、切羽前方の地質予測、データ取得の自動化などの技術開発を進めるとしている。

🌏現場の形状に地質情報を重ね、離れた場所から判断を支える🌏

本事例で注目したいのは、切羽の3次元データに、亀裂の方向や地質、危険箇所などの情報を結びつけ、現場と遠隔地の技術者が共通の判断材料として利用できる点だ。

亀裂がどこにあり、どの方向に伸び、周囲とどのような関係にあるのか。こうした情報を空間的に確認できれば、写真や文章だけでは伝えにくい状況を理解する手掛かりになる。専門家が現地を訪れる前でも、現場と同じ情報を見ながら、追加で確認すべき箇所や対応を検討しやすくなると考えられる。

空間情報に解析結果や専門家の知見を結びつけ、状況の理解と判断につなげる。これはまさに、GEOINTの実践といえる。

さらに、観察データと評価の記録を蓄積することは、経験豊富な技術者の判断を若手が学ぶ土台にもなり得る。AIの評価結果を技術者が確認・協議する仕組みが、実際の施工判断や技能継承にどう生かされるかが注目される。

出典:鉄建建設「トンネル地質DX『Remote Geo(リモート・ジオ)』の開発」(2026年10月5日/PR TIMES)

※システムの機能・運用状況は発表内容に基づきます。