こんな課題ありませんか
- 測量業者数が減り続ける中で、自社の立ち位置をどう取るべきか迷っている
- AIやドローンで測量の仕事が無くなるのか、実態がつかめない
- 日常的な計測を内製化したいが、専門業者との役割分担が見えない
測量の歴史・現状・課題・今後(i-Construction、AI、役割の再配置)を整理し、専門領域は測量会社へ、日常の計測は現場でクラウド化する分担がわかります。

測量の歴史・現状・課題・今後(i-Construction、AI、役割の再配置)を整理し、専門領域は測量会社へ、日常の計測は現場でクラウド化する分担がわかります。
測量業界は、人力による地上測量から航空写真、レーザー計測、そしてドローンを使った3次元測量へと、技術の進化とともに姿を変え続けてきました。
この記事では、測量業界がたどってきた歴史を振り返りながら、これからの測量がどう変わっていくのか、その将来性を解説していきます。
測量は地図作成のために発達してきた技術です。人力による地上測量から航空写真、そしてドローンやレーザーを使う手法へと、時代とともに大きく姿を変えてきました。
まずは変遷を辿ってみましょう。
日本の測量の歴史をたどると、江戸時代に伊能忠敬が全国を歩いて測った地図づくりがよく知られています。
当時は歩数や方位磁石、天体観測を頼りに、人の足で距離や角度を測る方法しかありませんでした。とても時間のかかる作業だったことは想像に難くないでしょう。
明治以降になると、三角測量という手法が全国に広まります。
山の頂上などに三角点を設置し、そこから見える別の点との角度を測って位置を計算する方法です。

この仕組みは長らく国土の基準づくりを支えてきました。
しかし昔の測量方法は、今のように機械が自動で数値を出してくれるわけではなく、熟練した技術者の経験と根気に支えられていたのです。現場に多数の技術者を投入する必要があり、天候リスクにも左右されやすい高コストな構造でした。
戦後の復興やその後の高度経済成長期に入ると、道路や鉄道、ダムといった大規模インフラ整備が急速に進みました。
膨大な広い範囲を短期間で測る必要が出てきたことで、飛行機から地上を撮影する航空写真測量が普及していきます。
地上を歩いて測る従来の方法に比べ、一度に広範囲のデータを取得できる点が大きな強みであり、測量の大幅な省力化とスピード化が実現されていきます。

その後、航空機からレーザー光を照射して地表の高さを測る航空レーザ測量(LiDAR)が実用化されます。実用化および国土地理院での研究開始は1990年代後半(平成10年前後の平成中期)からです。
レーザー測量では、地表面や建物、植生の高さを含んだ膨大な計測点の集合、いわゆる点群データが得られるようになりました。
写真だけでは分からなかった微細な高低差まで数値化できる点が画期的で、その後のデジタル施工や防災シミュレーション等、測量技術の土台となる技術へ進化していきます。
出典:点群データ|国土地理院
地上測量と航空測量の違いを整理すると、次のようになります。
項目 | 地上測量 | 航空測量 |
|---|---|---|
測量範囲 | 限られた区画ごと | 広範囲を一度に把握 |
作業人員 | 現地に多人数が必要 | 撮影・解析中心で省人化 |
取得データ | 点・線データが中心 | 写真から点群データまで |
安全性 | 急傾斜地等での危険を伴う | 上空からの計測で立ち入り不要(安全確保) |
航空写真から航空レーザー、そして点群データへ。
この流れは、測量の機器や技術が「面としての地形」をより精密に捉える方向へ進化してきた歴史であると同時に、現場の危険作業をなくし、効率と精度を両立させるための省力化の歴史そのものといえます。
2010年代以降に存在感を増してきたのがドローン測量です。
ドローンの登場で、単に「空撮ができるようになった」だけではありません。複数の写真から立体形状を再現するSfM(Structure from Motion)という解析技術や、誤差数センチの高精度な位置情報を取得できるRTK(リアルタイムキネマティック)測位、さらにLiDARを搭載した小型ドローンの登場が、測量の担い手そのものを広げました。
これまで、航空測量や大型レーザー測量には専門の測量会社と大がかりな機材が必要でした。
しかし、ドローンとこれらの技術の組み合わせにより、建設会社など発注側の現場担当者でも、ある程度の3次元測量を内製化し、自社で日々の進捗管理を実施できるようになってきています。
国土交通省が推進するi-Constructionでも、ドローンによる3次元測量を活用した検査により、書類作成の手間や検査項目を減らせることが示されています。
また、くみきのように地形データを効率よく活用できるクラウドサービスも登場しており、外注コストや移動のタイムロスを削りながら、現場の日常的な測量にかかる工数を大幅に減らせる時代になってきました。
次の章では、こうした流れを踏まえて測量業界がこの先どう変わっていくのかを見ていきます。
測量業界はいま、事業者数の減少と需要の底堅さという、一見矛盾する2つの流れのなかにあります。
まずは市場の規模感と人材面の課題、そして航空測量が果たす役割を順に見ていきます。
国土交通省の調査によると、測量業の国土交通大臣登録業者数は令和5年度末で11,313業者となり、20年連続の減少が続いています。
建設コンサルタントや地質調査業がおおむね横ばいで推移しているのと比べると、測量業だけが長期的な縮小傾向にある点は見逃せません。
出典:測量業は21年連続減少、建設コンサルタント、地質調査業は横ばい傾向|国土交通省
一方で、測量そのものへの需要が消えたわけではありません。
高度経済成長期に整備された橋梁やトンネルの老朽化が進み、点検・補修のための高精度な測量ニーズは今後も一定量発生し続けます。
加えて、地震や豪雨などの災害対応、国土強靱化計画にもとづく防災・減災事業も測量需要を下支えする要因です。
つまり業者数は減っていても、1事業者あたりが担う案件量や求められる専門性はむしろ増している状況です。

大手測量会社は災害対応や大規模インフラ更新の案件を取り込みつつICT投資を進めており、資本力や技術対応力による小規模事業者との二極化が進んでいるとも言えます。
景気動向に左右されにくい公共事業の比重が高いことも、この業界の特徴のひとつです。
測量業界が抱える最大の課題は、担い手不足と高齢化の同時進行です。
建設業全体で見ても、若年層の入職者は減り続ける一方、ベテラン技術者の大量退職期が迫っています。国土交通省の白書でも、建設業就業者の高齢化がほかの産業より深刻化していると指摘されています。
出典:直面する課題|国土交通省
測量士や測量士補の資格保有者も例外ではなく、現場を支えてきた世代の引退が進めば、経験や勘に頼ってきた作業をどう引き継ぐかが問題になります。
特に権利関係が絡む人力での境界確認や、ミリ単位の精度が求められる地形測量には熟練の技術が必要で、短期間での技術継承はかんたんではありません。
この状況を受けて業界内では、少人数でも成果を出せる体制づくりが急務になっています。
具体的には、現場調査や測量にかかる工数を大幅に削減できるツールの導入や、従来外注に頼っていた土量計測や進捗管理などの日常業務を施工者側で内製化し、外注費の削減と意思決定の高速化を同時に実現する動きが広がりつつあります。
さらに最先端の現場では、熟練者の足腰に頼っていた現況測量を、四足歩行ロボット(Boston Dynamics社のSpot等)や自律走行ドローンによる夜間・無人の自動巡回計測へと置き換える検証が進んでいます。
これらは人手不足を補う手段としてももちろんですが、テクノロジーの活用は選択肢のひとつというより、事業継続のための現実的な打ち手になってきています。
上記2つの課題を同時に解決する手段として存在感を増しているのが、航空測量です。
ドローンや航空機によるレーザー測量、写真測量は、広大な現場や急傾斜地、災害直後で立ち入りが難しい場所でも短時間でデータを取得できます。
単に作業を高速化・省人化するだけはでなく、危険なエリアへの人の立入りを最小限に抑え、現場の安全性向上という観点からも、航空測量の価値は計り知れません。
従来は複数人が数日がかりで行っていた大規模な地形測量も、航空測量なら数時間から1日程度で完了。
取得したデータをもとに土量計算を数秒で終えられるようなツールも登場しており、現場調査から報告書作成までの一連の流れを大幅に短縮できるようになってきました。
限られた人員でこれまで以上の案件をこなす必要がある今後の測量業界にとって、航空測量は単なる新技術ではなく、事業の持続性と安全性を左右する基盤技術になりつつあります。
需要は堅調でも、測量会社の現場には解決すべき課題が積み重なっています。
ここでは特に大きな2つ、技術継承の難しさとDX(デジタル変革)への対応について見ていきます。
測量の仕事は、資格を取って機器の操作を覚えれば一人前になれるわけではありません。
現場の地形や天候を見て測点をどう配置するか、機械の器械高誤差や視準誤差が出たときにどう補正するか。こうした判断は長年の経験から培われる部分が大きく、マニュアル化しにくいのが実情です。
成果品の品質を最終的に担保しているのも、こうした熟練者の目です。
若手が定着しづらければ、熟練者が持つ暗黙知はそのまま失われてしまいます。
もう一つの課題が、DXへの対応です。
国土交通省はi-Constructionを掲げ、ICT土工やBIM/CIMの導入を進めてきました。
港湾分野でも令和5年度からBIM/CIM原則適用が始まるなど、行政主導でデジタル化の流れは加速しています。
ただ、現場レベルではドローンや点群データを扱える人材がまだ十分ではなく、新しい機材や解析ソフトへの投資、オペレーター育成にかかるコストも中小規模の測量会社には負担になりがちです。
また、ミリ単位の精度が求められる対象や樹木が繁茂する現場など、現在の汎用的技術だけではカバーしきれない領域も未だに残されています。
従来の手法に慣れたベテランほど、デジタルツールへの切り替えに戸惑うケースもあります。技術継承の問題とDX対応は、実は根っこでつながっているのです。
ここまで見てきた課題を踏まえると、測量業界はどこへ向かうのでしょうか。
国土交通省の政策動向やAI技術の進展、業界構造の変化から、今後の姿を具体的に読み解いていきます。
測量業界の今後を語るうえで欠かせないのが、国土交通省が推進する「i-Construction」です。
これはICT(情報通信技術)の全面的な活用によって建設生産システム全体の生産性を高め、魅力ある建設現場を実現する取り組みで、ドローン測量やICT建機、3次元データの活用などが柱になっています。
この施策が始まったことで、測量は「紙の図面を作る作業」から「3次元データを扱う仕事」へと質を変えました。重要なのは、取得したデータが測量単体で終わらず、後工程へシームレスに循環し始めた点です。
ドローンで取得した点群データがそのまま設計や施工管理に使われる現場も珍しくなくなっています。
国土交通省はインフラ分野全体のDXも進めており、測量は建設生産プロセスのDXを前提にその入口として機能する場面が増えています。
つまり測量業界は、もはやDXを「検討する」段階ではなく、DXを前提に業務が組み立てられる段階に入っているといえます。
今後もこの流れは強まりこそすれ、逆戻りすることは考えにくいでしょう。
「測量士の仕事はAIに代替されるのでは」という不安の声を耳にすることがあります。
ですが実際の現場を見ると、AIが担っているのは点群データのノイズ除去や地物の自動分類、画像解析による変化検出など、あくまで膨大なデータを処理する作業の効率化にとどまります。
膨大な点群データから盛土や切土の体積を自動算出したり、空撮画像から構造物のひび割れを検出したりする技術は、確かに人の作業時間を大幅に減らしています。
しかし、その結果をどう解釈し、どの数値を最終成果として採用するかは、依然として測量士の人間としての専門的な判断に委ねられているのです。
境界の確定や公共測量の成果証明のように、法的な責任を伴う業務は人が担い続ける領域です。
最新の測量技術は、人の判断を置き換えるのではなく、より高度な判断材料を速やかに整える役割を担っていると考えるほうが実態に近いでしょう。
AIが計算を肩代わりする分、測量士にはデータの妥当性を見極める目がこれまで以上に求められるようになっています。

「測量士は食いっぱぐれる」といった声を目にすることもありますが、これは業界の変化を一面的にとらえた見方といえます。
実際に起きているのは、仕事がなくなることではなく、役割の再配置です。
近年は建設会社自身がICT建機やドローンを導入し、日常的な出来形管理や進捗確認などの簡易な計測を自社で内製化する動きが広がっています。日常的な出来形管理や進捗確認であれば、発注者側でもある程度対応できる時代になってきました。
現場の意思決定スピードを上げる観点からも、この流れは止まらないと考えられます。
一方で、内製化が進むほど際立ってくるのが、航空測量や高精度解析、コンサルティングといった専門領域の価値です。
広域を短時間で網羅する高度な航空測量、ミリ単位の精度が求められる構造物測量、複雑な地形の解析、法的な成果証明を伴う業務は、専門知識と設備投資を持つ測量会社にしか担えません。
測量会社は、これまでのような「形を測ってデータを納品する単なる請負者」ではなく、膨大な点群データを分析して「施工リスクの回避や工程最適化を発注者・ゼネコンに提案するコンサルタント」へと進化していくでしょう。
単純な計測作業の比率が減っていっても、高度な専門性と責任を伴う仕事の比率と価値が増していく。これが測量会社の今後の姿だといえるでしょう。
ここまで見てきたとおり、測量業界は姿を変えながらもなくなることはありません。
むしろドローンやAI、クラウド技術が現場に浸透するほど、測量という営みは建設プロジェクトの土台として重みを増していきます。
ただし、これまで専門業者だけが扱えた日常的な計測・進捗確認作業は、今後は現場担当者自身の手にも届くようになっていきます。
国土交通省が推進するi-Constructionでも、ドローンによる3次元測量の活用で検査項目が半減するなど、測量・検査プロセスの負担軽減が具体的に示されています。
こうした「測量の民主化」とも呼べる流れを、実務レベルで後押ししているのが空間データ統合プラットフォーム「くみき」です。
くみきは現場担当者と測量技術のあいだをつなぐ橋渡し役。現場調査や測量にかかる工数を最大95%削減し、外注費を最大100%抑えられるケースもあり、生産性を最大9倍まで高めた実績もあります。
測量会社は高度な専門領域へ、現場は日常的な計測作業をくみきのようなクラウドサービスへ。この合理的な役割分担が進むことで、建設現場全体の生産性を大幅に引き上げる未来が近づいていきます。
これから測量業界に関わる方も、すでに現場で働く方も、こうした変化を前提に自分の立ち位置を考えてみてください。