ArchiTechとロート製薬は、3Dスキャンした工場のバーチャル空間を活用する安全教育パッケージを共同開発した。過去の労働災害事例や作業ルールを、工場内の実際の場所に紐づけて確認できる仕組みで、8月から試験運用を開始している。

現場の空間と安全に関する情報を結びつけ、危険箇所や作業上の注意点への理解を支える取り組みだ。

過去の事故を、起きた場所とともに学ぶ

同社の発表によると、この安全教育では、実際の工場を3Dスキャンして再現した空間に、過去の労災事例や作業ルールを紐づけて表示する。

受講者は、事故が起きた場所や周囲の設備を確認しながら、関連する情報を学ぶことができる。文章で事例を読むことに加え、「どの場所で起きたのか」「周囲はどのような環境なのか」を合わせて把握できる点が特徴だ。

工場内の位置関係を手掛かりに、安全に関する知識と実際の作業環境を結びつける教育を目指している。

🌏場所を軸に、現場の経験を伝える🌏

本事例で注目したいのは、3D化した現場に、過去の出来事や作業上の知識を重ねている点だ。空間データにさまざまな情報を結びつけ、状況の理解と判断につなげる。まさに、SkymatiXが考えるGEOINTの本質である。

労災事例や作業ルールは、文章だけでは具体的な場面を思い描きにくいことがある。情報を実際の場所に紐づけることで、設備の配置や周辺状況とともに、危険の要因やルールの意味を理解しやすくなる。

特に、立ち入りに危険を伴う場所や、遠隔地などすぐに足を運べない場所では、現場を再現した空間データが状況把握の手掛かりになる。現地に行く前に注意すべき箇所を確認したり、離れた拠点間で現場の経験を共有したりすることにも活用が考えられる。

現場の3Dデータは、形状を確認するだけでなく、蓄積された経験や知識を、場所とともに伝える土台にもなり得る。今回の取り組みは、こうした空間データの活用可能性を示す事例といえる。

試験運用の段階であり、労働災害の削減効果が確認されたわけではないが、今後、安全教育への定着や、学んだ内容が実際の作業にどう生かされるかが注目される。


出典: ArchiTech株式会社のプレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000038856.html