通信網のない場所からも現場情報を届ける──NTTとJAXA、衛星センシングの実証成果を発表

NTTは2026年10月23日、JAXAと進める低軌道衛星を使った通信・センシング技術の実証成果を発表した。

衛星と地上間の通信容量の拡大に加え、地上の異なる2地点から同時に送られた信号を、衛星で受信して分離することを確認した。

図1. 「低軌道衛星MIMO技術を活用した衛星センシングプラットフォーム実証」のイメージ

実験には、小型実証衛星「RAISE-4」に搭載した低軌道衛星MIMO/IoT伝送装置「LEOMI」を使用した。複数のアンテナを利用する通信技術では、単一アンテナを用いた従来方式に比べ、最大約2.67倍の伝送容量を確認。衛星センシングでは、同じ周波数で同時送信された2地点の省電力無線信号を正常に分離・復調した。

将来的には、地上通信網が整備されていない海洋や山間部でのIoTデータ収集などへの応用を目指す。今回の発表は要素技術の軌道上実証であり、商用サービスの提供開始を発表したものではない。

🌏情報が届かなかった場所を、状況把握の対象へ🌏

本事例で注目したいのは、地上の通信環境によって情報収集が難しかった場所にも、センシングの可能性が広がる点だ。

現地にセンサーを設置できても、取得した情報を届けられなければ、離れた場所から状況を把握することは難しい。衛星を通じて情報を収集できるようになれば、頻繁に訪れることができない場所の変化を、継続的に確認する手掛かりになる。

例えば、将来こうした通信基盤を通じて集めた観測値を、取得地点や時刻、地形、周辺施設の情報と組み合わせれば、「どこで、どのような変化が起きているか」を考える材料になる。これは、場所と情報を結びつけて状況理解や判断に役立てるGEOINTの考え方につながる。

今回の技術は、そうした分析を支える情報収集の基盤に位置づけられる。通信が届く範囲の拡大は、私たちが現場の状況を知ることのできる範囲を広げる可能性を持っている。

出典:NTT「低軌道衛星で『より多く送る・より多くつなぐ』を実証、通信容量の拡大に成功」(2026年10月23日)