こんな課題ありませんか
- 発注者から3次元出来形管理を求められたが、要領の中身を把握できていない
- 計測機器の選定や精度確認、帳票作成で何を満たせばよいかわからない
- 点群データが重く、設計値との比較や関係者との共有に手間がかかる
要領(案)の位置づけと令和8年版のポイント、起工測量から出来形帳票までの流れ、確認すべき要件を順に整理し、ICT施工でよくある課題の解決策までわかります。

要領(案)の位置づけと令和8年版のポイント、起工測量から出来形帳票までの流れ、確認すべき要件を順に整理し、ICT施工でよくある課題の解決策までわかります。
発注者から「3次元出来形管理で進めてほしい」と言われたけれど、そもそも要領の中身がよくわからないという方も少なくないでしょう。
この記事では、3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)の概要から、実務で必要な要件まで順を追って解説します。
3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)は、工事が設計どおりに施工できているかを確認するためのルールをまとめた、国土交通省の基準書です。
ICT施工を行う際の計測方法・精度基準・データの納品方法などが定められています。

出来形管理とは、工事で完成した構造物が設計図どおりに施工されているかを確認する品質管理作業です。
たとえば道路の路体盛土であれば、高さや幅、法面の勾配などを測定し、国が定める規格値や設計値の範囲内に収まっているかを確認します。もし規格値を外れていれば、やり直しや補修が必要になる場合もあります。
従来は、作業員が巻き尺やレベル、トータルステーション を使って測定したい地点(横断線上など) を一つひとつ計測し、その結果をもとに出来形を管理していました。
一方、3次元出来形管理では、ドローンや3Dスキャナー、ICT建設機械の施工履歴データなどを用いて施工範囲全体を計測します。
点ではなく面(あるいは高密度な点群) として出来形を確認できるため、より広い範囲を効率的に把握できるほか、測り漏れの防止や品質向上、可視化が見込めます。
比較項目 | 従来の出来形管理 | 3次元出来形管理 |
|---|---|---|
測定方法 | 断面ごとに人力で点計測(主要な管理断面) | 3次元計測機器で面として計測 |
確認できる範囲 | 設定した測点のみ | 施工範囲の全面 |
測点間の品質 | 推定に頼る | データで確認できる |
現地作業の負担 | 大きい | 大幅に削減できる |
出典:3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)|国土交通省
この要領が整備された背景には、建設現場の生産性向上を目指す国土交通省の「i-Construction」の推進があります。
建設業では、慢性的な人手不足や熟練技術者の高齢化が課題となっており、限られた人員で効率よく現場を運営することが求められています。
しかし、従来の出来形管理は巻き尺やレベルを用いた手作業、トータルステーションでの 点計測が中心で、計測や記録に多くの時間と手間がかかっていました。また、確認できるのは一部の測点に限られるため、広い範囲を詳細に把握することは容易ではありませんでした。
そこで国土交通省は、ドローンや3次元スキャナーなどのICTを活用した出来形管理を推進しています。
3次元計測を標準化することで、現地計測からデータ処理、出来形帳票の作成までをデジタルで一気通貫させ、 現場の負担軽減と品質向上の両立を目指しているのです。
出典:i-Constructionの推進~建設現場の生産性向上~|国土交通省
要領に基づく出来形管理は、以下の4工程で進みます。
各工程で何が求められるのか(仕様や規格) を把握しておくと、現場での作業イメージがつかみやすくなります。
3次元出来形管理は、まず現地の3次元データを取得することから始まります。
従来の出来形管理では、巻き尺やレベルを使って特定の測点を一つひとつ測定していましたが、3次元出来形管理では、施工範囲全体を計測して立体的なデータとして記録します。
取得したデータは後工程の出来形評価や帳票作成の基礎となるため、非常に重要な工程です。
計測には複数の方法があり、現場の規模や地形、対象工種 、求められる精度に応じて使い分けます。要領で認められている主な計測手法は以下のとおりです。
計測手法 | 概要 | 主な特徴 |
|---|---|---|
UAV写真測量(ドローン) | ドローンで空撮した複数枚の写真から、SfMソフト等を用いて 3Dデータを生成する | 広範囲を短時間でカバーで、比較的低コストで導入しやすい |
UAVレーザースキャナー | ドローンにレーザーセンサー(LiDAR) を搭載して地表を計測する | 植生(草木) がある箇所でも地表面を取得しやすい |
地上レーザースキャナー(TLS) | 三脚などで固定した機器からレーザーを照射、周囲の形状を高密度に計測する | 構造物周りや狭所の高精度・精密計測に向く |
出典:3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)|国土交通省
計測で取得したデータ(写真やレーザー) は、「点群(ポイントクラウド) 」と呼ばれる大量の3次元座標情報の集合体として記録されます。点群は無数の点の集まりで現地の形状をリアルに表現していますが、そのままでは出来形の評価や設計データとの比較ができません。
そこで専用ソフトウェアを使い、点群データを解析・加工する「点群処理」を行います。
具体的には、不要なデータを取り除くノイズ除去や基準点を用いた座標の補正、草木などを除去して地表面を抽出するグラウンドフィルタリングなどを実施し、現況地形を表す3次元モデルを作成します。
この工程で作成されたデータが、後工程の出来形評価や帳票作成の基礎データとなります。
そのため、点群処理の精度は出来形管理全体の信頼性を左右するといっても過言ではありません。
要領では、処理手順や使用するソフトウェアについても一定の基準が定められており、それに沿って作業を進める必要があります。
点群処理によって3次元モデルを作成したら、次は出来形の評価を行います。
出来形評価では、現況の3次元データと、設計図面から予め作成した3次元設計データを重ね合わせ、両者の差分を算出。そして、ズレが工種ごとに定められた出来形規格値の範囲内に収まっているかを確認します。
従来の横断測量では、一部の断面を測定して評価していた一方、3次元出来形管理では施工面全体を対象に評価できるため、部分的な凸凹、計測漏れや見落としを防ぎやすく、より高い精度で品質を確認できます。
出来形評価が完了したら、その結果を成果物としてまとめ、発注者へ提出します。
提出物は電子データが基本で、オリジナル点群データ(フィルタリング前) や成果物点群データ(ノイズ除去後) 、3次元設計データ、出来形管理図、帳票類などが対象です。これらのデータをもとに、発注者は工事が適切に施工されたかを確認・検査します。
なお、ファイル形式や命名規則、フォルダ構成については対応する電子納品要領や共通仕様書で厳密に定められています。
提出前にチェックリストで確認しておくと、検査時の指摘やシステムエラーを減らしやすくなるでしょう。
出典:建設施工・建設機械:要領関係等(ICTの全面的な活用)|国土交通省
工事着手前に要領を読み込んでおくと、計測方法の選定から成果物の準備まで、現場での判断に迷わなくなります。
要領(案)は、すべての工事で共通の内容が定められているわけではありません。
対象工種(土工、舗装工、法面工、構造物工など) ごとに要領が分かれているため、まずは自分の工事がどの要領の対象になるのかを確認することが重要です。
たとえば、土工編は切土や盛土、路床、法面などを対象としています。
一方で、橋梁や函渠(ボックスカルバート) などの構造物工事には、それぞれに対応した別の要領が適用される場合があります。
適用する要領を誤ると、計測方法や提出資料が要件を満たさない可能性があります。
そのため、工事着手前に発注者へ「適用する要領の名称」と「対象年度」を確認しておくと安心です。
出典:建設施工・建設機械:要領関係等(ICTの全面的な活用)|国土交通省
要領(案)では複数の計測方法が認められています。しかし、どの現場でも同じ方法が最適とは限りません。
たとえば、広範囲を効率よく計測したい現場と、構造物周辺を高精度で計測したい現場では適した機器が異なります。重要なのは「どの方法が高性能か」ではなく、「自分の現場条件に合っているか」です。
主な計測方法と向いている現場条件は以下のとおりです。
計測方法 | 向いている現場条件 | 主な特徴 |
|---|---|---|
UAVレーザースキャナー | 広範囲の盛土・河川堤防・木々が残る現場 | 樹木があっても地表面を捉えやすく、短時間で広範囲を計測できる |
地上型レーザースキャナー | 切土法面・狭い現場・構造物周辺 | 近距離での精度が高く、UAVが飛行しにくい環境でも対応できる |
UAV写真測量(SfM) | 見通しのよい平坦地・比較的広い現場 | 機材コストを抑えやすいが、草木の密な場所では精度が落ちやすい |
ICT建設機械(施工履歴) | 盛土天端など施工中に管理したい箇所 | 施工と計測を同時に行えるため、測量工程の短縮につながる |
出典:3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)|国土交通省
3次元出来形管理では、「どの程度の誤差まで許容されるか」という精度基準(出来形規格値および計測自体の精度) が要領(案)で定められています。
この基準は計測方法や工種によって異なるため、自分の工事に適用される基準を施工前に確認しておくことが大切です。
特に、計測を行う前(または定期的)に実施する 精度確認試験の結果が基準を満たしていなければ、本計測に進めなかったり、 再測量が必要になる場合があります。機材や人員の再手配が発生すると工程にも影響するため、着工段階での精度確認試験を後回しにしないようにしましょう。
出典:3次元計測技術を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)|国土交通省
3次元計測による出来形管理では、計測や評価を行うだけでなく、その結果を成果物として提出する必要があります。
提出物には、オリジナル点群データや成果物点群データ、 出来形管理図、精度確認試験結果報告書などが含まれます。従来の二次元断面図だけでは完結しないため、事前に必要な成果物を把握しておくことが大切です。
また、発注者によって求められるフォーマットや提出方法、特記仕様書での追加指示が異なる場合があります。
工事打合せの段階で「何を、どの形式で提出するのか」を確認しておけば、検査直前の手戻りや慌ただしさを防ぎやすくなります。
要領(案)は数年おきに改定・ブラッシュアップされており、令和8年3月改定版では、現場の運用実態に合わせて複数の箇所が見直されています。 主な変更点を把握しておきましょう。
改定箇所 | 令和8年版での主な変更内容 | 現場への影響 |
|---|---|---|
適用工種の確認 | 適用できる工種や構造物の対象が拡大・細分化された | 旧版の対象範囲をそのまま前提にしない。特記仕様書で指定された年度版を参照する |
精度確認試験の方法 | 計測機器ごとの精度確認手順が整理・明確化され、試験頻度や検証点の規定が見直された | 試工時の確認フローが変わる場合があるため、旧版の手順書をそのまま流用しない |
提出成果物の要件 | 点群データのフォーマット要件が更新され、メタデータの記載項目が追加 | データ納品前にフォーマット仕様を再確認する。旧フォーマットのまま提出すると差し戻しになる場合がある |
監督・検査要領との整合 | 出来形管理要領と監督・検査要領が同時改定され、判定基準の記載が統一 | 両要領をセットで確認する必要がある。片方だけ参照すると判定基準にずれが生じる |
適用する要領の年度は、発注者が契約図書や特記仕様書で指定するのが一般的です。
古い版を参照していると精度基準や提出書類の要件がずれるため、工事ごとに「適用年度版」 を確認する習慣をつけておきましょう。
3次元計測技術を導入しても、現場ではデータの扱いにくさや判断のしにくさに悩む声が後を絶ちません。よくある3つの課題と、その解決の方向性をお伝えします。
UAVや地上レーザー(TLS)で取得した点群データは、1回の計測で数GB〜数十GB、数千万点におよぶ膨大なサイズになることも珍しくありません。
そのため、これまでは高性能なハイスペックPCや、ライセンス費用の高い専門ソフトが不可欠でした。
特に現場では、一般的な現場用ノートPCではデータを開くだけでフリーズしてしまったり、 オフィスに戻らなければデータを確認できなかったりするため、「今すぐ確認したいのにデータが重くて見られない」「協力会社や発注者に共有しづらい」といったタイムラグが大きな課題となっていました。発生

空間データ統合プラットフォーム「くみき」なら、こうした大容量の点群データをブラウザ上でさくさくと閲覧できます。専用ソフトをインストールする必要がなく、URLを共有するだけで関係者全員が同じデータを確認可能です。
重い点群データの受け渡しや閲覧にかかる手間をカットし、現場でのスムーズな情報共有を実現できます。
点群データ(計測結果)を取得して画面上に表示しただけでは、施工結果が設計値に対して高いのか低いのか、即座に判断できません。
通常は設計データ(3次元設計データ) と比較しながら差分を確認する必要がありますが、数値や断面図だけでズレを把握するのはそれなりの経験と熟練度を要します。
特に経験の浅い担当者の場合、「どこが基準を外れているのか分からない」「確認に時間がかかる」といった課題が発生しがちです。
くみきでは、現場の点群データと3次元設計データをクラウドで重ね合わせ、設計面からの差分をカラーマップで可視化できます。盛土や切土の計測も数秒で完了し、許容範囲を超えている箇所を色で直感的に確認可能です。
複雑な数値を1点ずつ追いながら断面図を何枚も作成するようなアナログな手間を減らし、 出来形評価を大きく効率化できます。
ICT施工では、元請会社だけでなく測量会社や協力会社、発注者など複数の関係者が同じデータを扱います。また、発注者を含めて立場が異なる複数の関係者が同じデータを共有して意思決定を行う必要もあります。
しかし、点群データはファイルサイズが大きいため、メールで送れなかったり、USBメモリで受け渡したりするケースも今なお少なくありません。
その結果、「最新版がどれかわからない」「確認に時間がかかる」といった情報共有の手間が発生しやすくなります。
くみきはクラウド上でデータを一元管理できるため、データの一元管理が可能です。
測量会社がアップロードした最新の計測データを、元請会社も協力会社も、さらには発注者までもがリアルタイムに同じクラウド空間で共有・確認できます。 URLを共有するだけで関係者間で最新情報を閲覧・共有できるほか、レポートもワンクリックで作成できるため、データ共有や報告業務にかかる工数の削減につながります。
前章で挙げた
といった課題は、多くのICT施工現場で共通して発生しています。
「くみき」は、こうした出来形管理業務の課題をまとめて解決し、日々のおこなう出来形確認や土量管理を“正確かつ圧倒的に楽”にするクラウドサービスです。
取得した点群データや地形データはブラウザ上で直接閲覧・解析できるため、ハイスペックPCの用意や大容量ファイルの受け渡しは不要です。
LandXML(設計データ)をインポートすれば、クラウド上で設計値との差分(切土・盛土数値)を数秒で即座に計測・可視化できます。
手直しや算出ミスによる事務所と現場の往復・再測量の手間を大幅に削減し、日々の現場確認をスピーディかつ正確に進められます。
さらに、正式な出来形管理帳票の出力や成果物作成には、福井コンピュータの点群処理ソフト「TREND-POINT(トレンドポイント)」とのAPI連携が真価を発揮します。
「くみき」で生成・管理した高精度な点群データを「TREND-POINT」へダイレクトにデータ連携できるため、従来発生していた手動でのデータ変換や入出力の手間をまとめてカット。
点群生成から出来形評価・帳票作成までの作業時間を最大60%短縮し、高度な出来形管理業務をストレスなく完結させることができます。
また、現場データはすべてクラウド上で一元管理されるため、協力会社や発注者への共有もURLを送るだけで完了します。
計測・点群処理・差分解析・帳票作成まで、それぞれの工程で発生する手間に悩まされていた出来形管理業務。「くみき」と「TREND-POINT」の連携活用なら、正確性を担保しながら業務負担を最小限に抑えられます。
まずは資料請求やデモを通じて、実際の操作性や連携によるスムーズな出来形管理のイメージを確認してみてください。